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2003・全豪オープンテニス選手権
(オーストラリア・メルボルンより) |
現地リポートNo.01 03/01/15 |
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真夏のオーストラリア・メルボルンに来ている。
テニスのグランドスラム全豪オープンをWOWOWのマイクから放送しているのだが、放送時間が長い。
水曜日までの3日間は2試合担当、夜7時半から約5時間、毎日日付が変わる生放送でベッドに入るのは午前3時という日が続いた。 |
おまけに35度前後の暑さで鼻の皮が剥けてヒリヒリする。それでもナイトセッションといわれるその日のメイン試合は盛り上がるし興奮する。
開けっぴろげなオーストラリア人のホスピタリティからか、スタンドは上半身裸の人や趣向を凝らしたペインティング姿で大騒ぎをする。4つのグランドスラムの中では、一番格式ばらないところが親しまれるのだろう。
このところの傾向で男子は番狂わせ、女子は順当というのが続いたが、今年は女子で初日に思いがけない大波瀾が起きた。三連覇を狙い、今頂点にいるセレナ・ウイリアムズにどう挑むか注目されたジェ二ファー・カプリアティが早々とコートを去ってしまった。相手はランク90位、無名のドイツ・バインガートナーだった。第1セットをカプリアティがあっさり取った。
放送席の私はなんとかバイントガーナーに善戦して欲しいと願っていた。すると、第2セットから彼女は開き直ったかのように果敢に攻めた。楽勝と思っていたチャンピオンが相手のペースに合わせミスを連発し始めた。時折、不安げにスタンドのコーチ・父親に視線を送るようになった。流れを掴んだ挑戦者は一気にチャンピオンを攻め大金星をあげてしまった。
勝負というのは顔や格が通用することが多いが、勇気を持って自分に徹すれば強い者を破ることが出きるのだと、改めて思い知らされた。夏の夜風が興奮した頬に心地よく、解説者と酌み交わすオーストラリアビールの味は格別だった。出きることなら日本人選手の果敢なプレーを放送したいものだ。男子の本村、女子の浅越は一回戦で姿を消した。エース杉山は2回戦に進んだがロシアのノーシードペトロワに敗れ見せ場のないまま終わってしまった。救いはコーチの死を乗り越えて1回戦で初勝利をあげた森上亜希子の闘いであった。勝負は技術も体力も必要だが強い心が発揮されたとき、見る人の心の扉を激しく叩くのであろう。 |