Column (2003/07/14号・週刊ベースボール掲載分)
◎プレイオフのあり方

 NBAのチャンピオンにサンアントニオ・スパーズが輝いた。ダンカン・ロビンソンのツインタワーといわれる新旧を中心にした優勝は予想通りといっていいだろう。アメリカのプロスポーツではNBA、MLB を始めとしてプレイオフ・システムを採用しているものが多く、最後まで盛り上がる。レギュラー・シーズンが終わるや否やプレイオフに突入し、しかもロングランで戦うのだ。
 終わったばかりのNBAは10月末に始まり、4月中旬まで82試合、そこから東西両カンファレンスの上位8ティームづつのプレイオフが行われ、ファイナルまでは2ヶ月かかってチャンピオンが決まるのだ。

 バスケットは29ティームが東西に分かれており、野球と違いリーグではなくカンファレンスという言い方をする。つまりMLBが取り入れた交流試合の形を最初からカンファレンス=「競技連盟」「協議会」=という言い方で行っていたのである。東と西の8ティームづつで1回戦、準決勝、そしてカンファレンスの決勝を行い、東西の代表によるNBAファイナルに向かっていくのだ。
 大リーグはNBAを参考にしてプレイオフ制度を推し進めてきたといわれる。現在の30ティームになってからは、ア・リーグ、ナ・リーグを東、西、中、の三地区のトップと両リーグの地区優勝を逃したが、最高勝率のティームをワイルドカードとして計4ティームづつでプレイオフを行い、両リーグのチャンピオンでワールドシリーズを戦うのである。最近の例のように、必ずしも地区優勝のティームがNo.1になるとは限らない。NBAも同じで両カンファレンスのトップがNo.1を賭けて戦うとは限らないのである。
 しかし、このプレイオフはアメリカでは成功している。最後まで上り詰めていく過程が長く、しかも次々とスピーディに展開するから飽きさせないのだ。何といっても、両リーグ、両カンファレンスが同じルールでやっているから問題は起きないのである。
 しかるに、来年から日本がまたぞろ始めようとしているパ・リーグだけのプレイオフというのは何なのだろう。もしやるなら(今のやり方ならやめてほしいが・・・・)両リーグが揃ってやらなければ不平等、不公平この上ない。少なくとも、日本シリーズではセ・リーグと戦うのだから、パ・リーグの人気を盛り上げる策だけではなく、セ・リーグとの意見調整は不可欠であったはずだ。報道によると、先月10日のパ・リーグ理事会ではプレイオフ優勝ティームとは別に公式戦の勝率1位ティームも公式戦優勝として表彰することが決まったそうだ。こんな不可解な事があっていいのだろうか。優勝は一つだけだから優勝のはずだ。またセ・リーグからの声で3位のゲーム差がありすぎた場合出場させないという制限を設けることも検討しているそうだ。さすれば、2位とのゲーム差が仮に15ゲーム離れたらどうするんだ。それでもプレイオフをやるのか。今年のセの阪神の勢いをパに置き換えたら十分にありうることではないのだろうか。
 プレイオフは面白いし、盛り上がるものだ。しかし、やる絶対条件は両リーグが同じシステムを取らなければならないということだ。人気回復策はプレイオフでは解決しないはずだ。日本はまだまだ、プロの国ではないようだ。



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