■ Column No.241 (2007/09/11デイリースポーツ掲載分)
● 「フェデラー語録」

 全米オープン史上初の4連覇をロジャー・フェデラーが達成した。テニス関係者やテニスファンが至極当然と見た本命ガチガチの優勝である。2003年の全英優勝から始まったグランドスラムの優勝は12回目、クレーの全仏を除けば絶対に負けない不敗神話はまだまだ続きそうだ。
 試合後の記者会見で聞くフェデラーの話には、一つの道を究め続けている王者の勝負へのあり方が「語録」として散りばめられている。解説者になったアンドレ・アガシが「テニスで二種類の世界最高の武器を持てば、試合を支配できる」と話していた。それを引用した記者が「あなたは五つ位持っていませんか」とフェデラーに聞くと、「あるかもしれないね、サーブが駄目なら、ベースライン、それも巧く行かなければ戦略、絶対に相手を過少評価しないこと。臨機応変であること、その瞬間に判断すること、だから武器はいくつも持っているのだ」「有利な相手には、接戦で相手が崩れるので同点の時こそ自分の方が有利だとアグレッシブに考えればいいのさ」自分を知り、相手を正しく評価することに如何に秀れているかが伺える。勿論そこには高いレベルの絶対的技術の自信を持っているからだろう。
 決勝戦の相手は登り調子の20歳の若者、ジョコビッチだったが、「自分を見失わず攻撃的に難しい場面をコントロールすること」と語り、その通りに若者の挑戦をしりぞけた。
 試合展開では、ずっとジョコビッチが押していたが、大事なポイントは全てフェデラーが抑えている。ここ一番の「心のあり方」が、まさに王者なのだろう。
 試合のマナーの素晴らしさ、相手へのいたわり、オフコートでの社会活動や行動、何よりも普段は「普通の良い人」であるところが、真のチャンピオン、心技体の充実といえるだろう。
 日本ではゴルフのタイガーウッズの方がはるかに有名だが、世界の色々なスポーツの全ての中で、最高の選手を表彰する「ローレンススポーツ大賞を持っているのは、ロジャー・フェデラーである。負けない王者はどこまで勝ち進むのか、しばらくはフェデラーの世界が続くのだろう。



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