■ Column No.236 (2007/07/31デイリースポーツ掲載分)
● 厳しい五輪予選

 北京五輪の出場権をかけた第24回男子アジアバスケットボール選手権大会が徳島市で開かれている。日本の男子は1976年のモントリオール五輪を最後に、30年以上も五輪の舞台から遠ざかっている。恐らく、世界のビッグスポーツの中で、30年以上も五輪にさよならしているのは、男子バスケットボールぐらいだろう。
 今、私は徳島からアジアの16の国が集まっている大会の実況を行っているが、今度はチャンスがないとはいえない。それは、アジア1の中国が五輪開催国なので、中国を除いたNO.1の国に代表権が与えられる。しかも、今回の全日本は、久しぶりに、バラエティに富んだ、走れて、高さもあり、シュート力もあるいいティームだ。昨日までの第1次予選を突破、殊に、高さのあるレバノンを破った逆転の試合は、会場を大いに盛り上げた。人気のイケ面・五十嵐の活躍は若い女性ファンも大喜びで興奮のルツボだった。ライバルは韓国になる。スピードとシュート力は韓国の伝統だが、加えて2m23pのNBAに挑戦する大型センターがおり、アメリカやアルゼンチンから帰化した選手も集めるなど、韓国も並々ならぬ決意で今大会に臨んでいる。
 大会は今日から2次予選に入る。日本と韓国の対決は2次予選であるが、おそらく、決着は決勝ラウンドでの対決になるだろう。日本が32年ぶりの五輪出場を果たすには、韓国を倒さなければ道は開けない。
 31年前のモントリオール五輪で、私はバスケットの担当だった。日本は1勝しただけだったが、これが最後の男子の五輪の舞台だった。当時、30代の半ばの若いアナウンサーだった私も、今、60の半ばになった。それだけ、長いこと、バスケット男子は「かくも長き不在かな」を続けていたことになる。
 今週末の決勝トーナメント、私は準決勝と決勝のマイクを握る。韓国だけでなく、中近東の国も力をつけているから、道は険しい。しかし、中国のことを予選で考えなくてもいい大会は当分ない。あとは、東京で五輪が開かれるのを、待つしかないのだ。
 今、バスケット界は内部で色々な問題を抱えている。五輪出場の快挙が、ひょっとすると「救世主」になるやも知れぬと、私は思っている。今週の日曜日、「モントリオール以来の五輪出場」と、私は叫びたいのだが、願いは叶うのだろうか。



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