■ Column No.234 (2007/07/17デイリースポーツ掲載分)
● トラのアキレスけん

 先週、本紙の「とらのしっぽ」を読んでいて、よく、勇気をもって情けないタイガースファンを批判したと、拍手を送った次第です。ナゴヤでの中日戦で阪神は川上に8回まで完全に押さえられていた。ところが、完封ペースできた川上が痛烈なピッチャーライナーを胸にあて、マウンド上で倒れた。その時、スタンドの阪神ファンが拍手を送ったのだ。「とらのしっぽ」の改発さんは、その心無い阪神ファンを厳しく批判した。当たり前だと言ってしまえばそれまでだが、デーリースポーツの立場からいえば、阪神や阪神ファンを批判するのは、覚悟がいる。
 デーリースポーツは「阪神とともにある」といってもいいスポーツ新聞だ。「デーリースポーツにコラムを書いてます」というと、ほとんどの方が「ああ、タイガース新聞ですね」といわれる。だからこそ、勇気や覚悟がいる。褒めたり、持ち上げる記事を書いていれば、ファンは喜ぶ。売り上げにも影響するだろう。それは、簡単なのだ。
 私は大学で「スポーツマスコミ論」を教えているので、マスコミのあり方には関心がある。学生には、マスコミの基本は「いち早く、正しく、批判精神ももって伝え、スポーツを啓蒙する」こと、と話している。阪神とともにある新聞でも、目をつぶれないことに対しては、きっちりとものを言わねばならない。
 野球は、場面によっては命にもかかわる危険なケースがある。大怪我をするかも知れない場面で、たとえ、抑えられてイライラしていたにせよ、拍手を送るとは、人として許されないのだ。昔、巨人がV9を達成する阪神・巨人の最終戦、完敗した阪神ファンが、3塁側のベンチになだれ込み、王さんを殴ったシーンを私は忘れることが出来ない。この時、私はリポーターをやっていたのだが、「ファンは、暴徒化することもあるのだ」とその怖さが胸に焼き付いている。数日前、日刊スポーツの写真で阪神ファンがトラ模様のレオタードでヒップ丸出しのスタイルで挑発する姿が載っていた。これは、品格やマナーの問題だから目くじらたてることはあるまい。「いやぁ、面白い。目の保養をした」と近くにいた男性ファンは思ったことだろう。ただ、こうゆうことが、阪神ファンのイメージになってしまうのはどんなものだろう。。星野仙一監督で優勝したとき「道頓堀川に飛び込むことは許さん」といったのに、聞かないファンがいたほどだから、阪神ファンを押さえるのは難しいのだろう。ただ、命や大怪我に拍手を送るなら、阪神ファンはやめてもらいたいのだ。善良な阪神ファンが迷惑する。
 「とらのしっぽ」が、かっての報知新聞の「激ペン」のようなヒットコラムになるのを、願っている。



--- copyright 2001-2007 New Voice Shimamura Pro ---
info@shimamura.ne.jp