■ Column No.224 (2007/05/08デイリースポーツ掲載分)
● 連敗脱出法

 阪神の連敗が続いている。5月に入って勝ち星なし、4月28日から始まったゴールデンウイークの最中に7連敗で明けてしまったのだから阪神ファンは不愉快な日々を送っているはずだ。しかし、まだ上がある。阪神は雨中止が2試合あったから7連敗だが、オリックスは9連戦全敗、5月5日にはコリンズ監督と代表の「てこ入れ会談」が持たれたそうだ。こうなると、深刻である。関西のプロ野球ファンにとってはゴールデンではないブラックウイークだった。シーズン中の連敗、4連敗、5連敗はどのティームにもあることだ。「普通にやればうちが負けるはずが無い」と言い切って今季をスタートさせた落合ドラゴンズでさえ、連休の前半まで6連敗した。去年の覇者日本ハムも四月下旬に6連敗している。
 一般的に5連敗位になると、新聞や放送のマスコミは連敗の理由や脱出法をあれこれ御託を並べるようになる。「どうしたら、脱出できますかね」「何か手を打つべきでしょう。」「オーダーを変えるとか、ローテーションも見直すか、なりふり構わず勝ちに行くべきでしょう」などと言い出す。そんなこと、言われる前に監督もコーチも頭を悩ませているのだ。それでも勝てなくなるのが「大連敗」なのだろう。
 連敗についての話がでると、私は以前川上哲治さんに伺った逸話をすぐ思い出す。「西武の森監督が8連敗していたとき、私は、森君、おめでとう、と電話したんですよ。森はからかわないでくださいよといったのだが、これ以上落ちることはないはずだ。神が与えた絶好のの試練なのだぞ」と落ち込んでいるはずの森を励ます電話をしたんですよ」「選手と会食でもやり、飲ませろ。野球を忘れる時間も必要だ」
 実は、川上さんはV4の時、6月に7連敗をした。何をやっても巧くいかず、裏目、裏目に出て落ち込んでしまった。その時、禅の師匠・梶浦逸外老師から電話があった。「おめでとう。全部悪いところが出たのだから、これからは上がるだけだ。選手には楽にやらせたほうがいい」
 川上さんは老師からの教えを同じ手法で森さんに伝えたのだ。森さんは8連敗で止まり、9連勝して帳消しにしている。雷を落とすほど選手は萎縮し焦り、あがいて深みにはまる。私たちの人生にも、どうすることも出来ない「ある時期」というのがあるのと同じなのだろう。岡田監督にも、辛いときに「人生の師」からのアドバイスがあるといいなぁ、なとどと思ったりしている。ただ、阪神とオリックスのティーム力は明らかに違う。連敗脱出法は同じやり方とはいえないかも知れない。今日から阪神は巨人、オリックスはロッテをホームに迎える。



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