■ Column No.216 (2007/03/13デイリースポーツ掲載分)
● 今こそドラフト改革

 球界に衝撃が走った。西武の裏金工作が発覚した。先週の土、日とオープン戦の中継でグッドウィルドームへ出かけていたのだか、グランドレベルの取材はまばら、多くの報道陣が追っていたのは球団社長やフロントの動向だった。
 今回の西武に限らずこの問題は「どこにでもあるよ」と球界通やメディアに精通している人は囁いていた。今のドラフト制度が行われている限り、球団からアマチュアの選手や関係者に裏金の工作をすることは起こりうることなのだ。オーナー会議や実行委員会で決めた当事者たちが関わっているのだからどうしようもないではないか。今回の裏金問題は西武だけではない。この際、現役のプロ野球選手全員とアマチュア球界全体の調査をし、金の流れの実態を解明することから始めるべきだろう。氷山の一角だけで騒いでも根本的な解決にはならないはずだ。
 次に 球界の、マスコミの見識ある人々が言い続けている「あいまいなドラフト制度の改革」から始めることだ。「希望枠」などという例外措置はドラフトと対極にあるといえる。その両方を採用しているわけだから、現在のドラフトなどは、あってないにも等しいといえるだろう。希望枠の撤廃、ドラフトもウエーバーという前年の下位球団から順に指名して行く制度に変えなければ本来のドラフトの役目を果たさないのだ。アメリカのNBA、MLBがドラフトを採用したのは「戦力の均衡化」を考えたからだ。NBAのトレードには選手と「ドラフト一位指名権」というものまである。つまり、ウエーバー制といわれる完全ドラフト制度が行われているから、こうゆうトレードも成り立つのだ。
 本来、ドラフトは選手の側に選択権があるのではなく、球団の側にある。球団が指名し選手が契約するのだ。望みの球団に行けなくとも、プロ野球という組織に就職するのだから好き嫌いで選べるとは限らない。その代わり、活躍してFA権を得て望みの球団に行けばいいのである。そのためには、日本のFA権取得の期間をもっと短くすることも必要だろう。指名権も順番によって契約の金額を決めることだ。とんでもない契約金を支払い活躍できない選手が如何に多かったかは、歴史が証明している。プロとしてのお金は入ってからプロを相手にして稼ぐものだろう。
 ただ、制度を変えてもお金の不正な流れは根絶されないだろう。お金の誘惑、権力を廃絶するには、使う人間の倫理を厳しく養って行かねばならないのだ。



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