■ Column No.214 (2007/02/27デイリースポーツ掲載分)
● スターでは勝てない

 NBAはオールスターが終わり、いよいよ後半戦に突入した。今季はオニールとウエイドのコンビ、名将ライリーの率いるマイアミ・ヒートの連覇なるかという大きなテーマでスタートしたが、前半でヒートの連覇には赤信号が灯っている。オニールの怪我による出遅れ、監督ライリーの病、ここへ来て新リーダーのウエイドの怪我と未だに勝ち越せずに低迷が続く。プレイオフを勝ち進むのは余程のことがないと難しいだろう。
 シーズンに入っての大きな話題はスーパースターのフィラデルフィアのアレン・アイバーソンのデンバーへのトレードだった。吹雪の中、12月の下旬、アイバーソンは子供を抱え、専用機でデンバーに向かった。そこには世界選手権でも米の中心選手として活躍した若きスター・カーメロ・アンソニーが待っているはずだった。アイバーソンとアンソニーのコンビでデンバーは台風の目になることは間違いないだろうとファンは期待した。ところが、待っているはずのアンソニーは12月の中旬、アイバーソンがやってくる数日前に試合中に乱闘事件を起こし、なんと15日間の出場停止処分になってしまった。
 ようやくアイバーソンとアンソニーがそろって試合に登場したのは1月22日からだった。さあ、いよいよデンバーの快進撃が始まるのかと思いきや、2連勝した後はなんと2人そろった試合で七連敗が続いているのだ。確かに2人は点をとる。毎試合のようにティームは3桁得点、その内の60点から70点は2人でたたき出す。しかし、取っても取ってもそれ以上の点数を取られてしまうのだ。コートにいる他の三人の働き場がないのだ。コート上の5人のコンビネーションが巧く行かなくなるとアイバーソンとアンソニーは焦って苛苛する。2人のミスが出て、相手に点を取られるという最悪のパターンになってしまうのだ。アイバーソンはフィラデルフィア時代もスターだったが、問題児とも見なされていた。巨額の富を得たが、彼にないものはNBAのチャンピオンリングだけなのだ。その願いを叶えるべく、アンソニーとのコンビに想いを託してきたのだが、今のところは2人が頑張れば頑張るほどティームは勝てない。
 バスケットはやはりティームゲーム、しかも点をとる以上に守ること、ティームとしてのケミストリーといわれる調和、野球風にいえばティームワーク、ティームプレーが第一なのだろう。今季はリーダーがいて、尚且つこの条件を満たしているのは、ドイツ出身のノビッキー率いるダラスとカナダ出身のナッシュ率いるフェニックスなのだ。スターを並べただけでは勝てないのはバスケットも野球も同じだろう。



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