１１月に開幕したＮＢＡはレギュラーシーズンの４分の１を経過、幾つかの波乱が起きている。２連覇を目指すマイアミ・ヒートがシャキール・オニールの怪我もあるが、負け越しという最悪のスタートになっている。開幕のブルズ戦を放送した時、大敗を喫したのだが、勝つことへのハングリーさを失い、名将・パット・ライリーもちょっと油断してシーズンに突入した感が否めなかった。今のままでは、プレイオフの当落線上なのだから、チャンピオンティームとしては不甲斐ない、みっとも無い戦いといえる。
　シーズン前、あまり注目されなかったユタ・ジャズがいい。ストックトン・マローン時代から私は好きな球団だったが、ＮＢＡチャンピオンになぜか届かなかった。スローン監督は今年１９年目を迎える。先日、1,000勝をマークした。ＮＢＡの監督は首の挿げ替えが多い中、よくここまで続いていると感心させられる。
　先週、「やっぱりなあ」というビッグニュースが入ってきた。スーパースターともいえるシクサーズのアイバーソンが放出されることになったのだ。今季もアイバーソンは獅子奮迅の働きを見せていた。平均得点３１．２、ティーム得点の３分の１を叩き出している。それでもティームは勝てない。ここ数年のシクサーズの傾向として、アイバーソンが働けば働くほどティームは負ける。他の選手の活躍がなくなってしまうのだ。一昨年、クリス・ウエーバーを獲得し、二人のスターの競演でＮＢＡチャンピオンを狙えるとまで言われた。ところが、怪我もあったにしろかみ合わないのだ。バスケットはティームプレーのスポーツである。神といわれたジョーダンは自身のプレーもさることながら強烈なリーダーシップを発揮、ティームメートを動かした。ジャクソン監督との関係も親密であり、敬愛していた。
　悲しいかなアイバーソンは個人としては素晴らしいプレーをしたが、問題児でもあった。１０年間、ティームのトップスコアラー、２０００年にはファイナルまで進出したが、チャンピオンリングには届かなかった。既に、ここ数年はオフになるとトレードの噂が絶えなかった。今季、ティームはスタートから５勝１８敗、スナイダー会長も「放出が双方にとってよし」と決断したのだ。
　しかし、１０日経ったのにトレード先は決まらない。シーズン前ならともかく、アイバーソンを獲得することでティームの形が完全に変わり、別のティームになってしまうことを恐れるティームが多いのだろう。高額のサラリーもネックになるはずだ。どこへ行くアイバーソン。