Column No.199 (2006/11/08デイリースポーツ掲載分)
◎ 日米野球に思う

 日米野球の全日本選抜の顔ぶれを見て、「これが日本代表メンバーか」と首を傾げるプロ野球ファンも多いのではないだろうか。福留、金本、岩村、松中、川崎、和田らがオーダーにいない。「松阪と対戦したかった」と話す全米オールスターの選手さえいる。昔は日米野球の代表に選ばれ、大リーガーと対戦してみたいと日本のトップレベルの選手たちは思っていた。
 ところが、いまや辞退者が続出、怪我の治療やアフターケアーのためにオフを使いたい選手が増えてきたのだ。少なくとも、15人前後のスター選手が出場を断ったはずだ。最早、エキシビションの日米野球で、アメリカと戦うことに価値を見出しにくくなっているのだろう。大リーガーに「憧れる」時代から、メジャーリーグに行くか、チャンピオンシップシリーズで戦うか、何れかにしか魅力的では無いのかも知れない。
 かっては、アメリカの野球を身近にテレビで見ることは出来なかった。
今では、NHKのBSでは、日本のプロ野球以上に連日、放送するわけだから、珍しさや希少価値は無くなっている。大リーガーは手の届かない「憧れの人たち」ではなくなり、「戦う相手」になってきたのだ。
 半世紀以上に及ぶ日米野球も、曲がり角にきたといえるだろう。ワールドベースボールクラシックのアメリカの不甲斐なさも、それに輪をかけたのだろう。MLBの決勝戦を「ワールドシリーズ」と呼んで何の違和感もなかったのが、カナダやメキシコに破れ決勝戦にさえ出られないとなると、「ナショナルチャンピオンシップと言いなさいよ」とへらずぐちの一つも言ってみたくなろうというものだ。
 プロ野球の国際化が進む中で、日本プロ野球選手会は、今年7月、「親善試合は参加しない」という方向性を打ち出している。日米野球がプロ野球の発展に貢献した役割は大きかったのだが、もう、そろそろエキシビションに力を入れるより、「真剣勝負」の戦いに価値を見出そうとしている。



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