Column No.197 (2006/10/25デイリースポーツ掲載分)
◎ 俺流か、ヒルマン流か

 日本シリーズは中日・日本ハムの2勝1敗、今夜の第4戦がシリーズの行方を左右する。かってのVナイン監督の川上さんを初めとして、第4戦をポイントにされる方が多い。
 4戦目をとり大手を賭けるか、タイに追いついて、逆に勢いをつけるか、シリーズが1勝1敗になった時に「第4戦必勝」のかたちになるのだろう。
 短期決戦は必ず流れをつくる勝負どころがある。そこを生かすか、失うか、テレビを見ながらでも、そこを感じとって行けば、現場に行かなくても勝負を楽しめる。
 阪神ファンにも、中日と日本ハムじゃ、見たくも無いなどといわず、「野球ファン」になって、シリーズの勝負どころを自分なりに見極めてみるのも一興だろう。
 第1戦は井上を歩かせ、谷繁勝負、第2戦は1点リードされた中日が、セギノールに追加点の2ランを喫したところだろう。ここの勝負がどちらに転がるかで、結果は変わっていたかも知れない。結果論ではなく、推理してゲームを追えば、ご贔屓ティームの試合でなくても、野球は「おもろい」
 ヒルマンと落合両監督のシーズン中のティームづくりや采配は似かよっていた。シリーズの対戦を見ても、共に自分たちの野球をやっている。
 興味深いのは2人の経歴とティーム運営が対照的な点だ。かたや三冠王3回、打撃の真髄を極めた落合、ヒルマンは大リーガーとしての経験はなく、監督としても、1A、2A、3Aとマイナーリーグで少しづつ実績をつくってきた。いわば叩き上げの野球人生を送っている。招聘した日本ハムのフロントの眼力の確かさは見事である。
 ヒルマン監督はファンサービスに積極的、病院や学校の訪問もよくするし、地域と球団の共存に力を入れている。プロ野球を「産業」として考えているのだ。試合前、ベンチで通訳を交え、必ず共同記者会見をする。マスコミと仲良くし、情報の共有をきちんと考えているのだ。
 落合監督は対極のところにいる。情報は流さない。相手チームに有利になる情報を出す必要はないと考える。怪我については、特にオフレコだ。地域への密着も特に力を入れているようには見受けられない。
 落合監督は自分の目で見て判断する。俺流とはこのことなのだ。「勝つこと」がファンを喜ばせ、球場に足を運んでもらえる。「勝つ」ためには、練習しかない。キャンプで一番長い練習をしているのは中日だろう。
 対照的な2人の監督の4戦以降の采配を楽しみにしたい。



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