Column No.188 (2006/08/23デイリースポーツ掲載分)
◎ 本物がやってきた

  バスケットの世界選手権が初めて日本で開催されている。NBAの影響で世界では弱い日本だが、バスケットの人気は若者にかなり浸透しているといえるだろう。世界から24のティームが参加しているが日本は開催国の権利での出場だから、今行われている予選リーグを突破出来るかが前半の焦点にもなっている。ドイツ、アンゴラ、スペイン、ニュージーランド、パナマの中で上位4番目に入るのは至難だと私は見ていたのだが、今日のニュージーランド戦の結果如何ではチャンスが生まれてきた。ドイツ、アンゴラに連敗して苦しいスタートだったが、劣勢と思われたパナマに逆転勝ち、今日行われるニュージーランド戦に勝ち、ドイツがパナマに勝つと決勝ラウンドに滑り込めることになる。日本は厳格なパブリセビッチ監督の下、スピードと守りのバスケットを追及してきた。ツインタワー・竹内兄弟、イケメンのリーダー五十嵐、ベテランシューター折茂を中心に「ディフェンス力」でパナマをかわした。チャンスは今夜のニュージーランド戦になる。前回、銅メダルを逃し4位だったニュージーランドは今回の予選ラウンドで既に3連敗と崖っぷちにたたされている。しかし、この3連敗には理由がある。ゲームリードをするディッケルというガードが薬物使用で出場停止になっていたからだ。ところが、出場停止は日本戦から解ける。問題はティームから離れ、練習の出来なかったディッケルがティームにすぐ機能出来るかにかかっているだろう。
 バスケットといえばNBAのアメリカだが、王国アメリカはこのところの世界選手権で3位と何と6位、アテネ五輪も銅メダルに終わっている。世界で戦う認識の甘さとおごりがあったのだ。ただ、今回は「やるだろう」と私が見ている点はヘッドコーチにデューク大学のシシェフスキーを起用していることだ。NBAのスター軍団に大学のコーチというのは異質にみえるが、アメリカでは不思議なことではない。大学とNBAを行き来するコーチは沢山いるのだ。まして今回の主役はNBAファイナルのMVPウェード、キングと呼ばれるジェームス、そのライバルのアンソニーで彼らは大学生の年齢の若さなのだ。シシェフスキーの「組織力」のバスケットを彼らが受け入れてやれば、スター軍団のアメリカが優勝候補の筆頭とみていいのだろう。しかし、アルゼンチン、イタリア、スペイン、ドイツにもNBAのスター達は分散している。アテネ五輪金のジノビリを擁するアルゼンチン、粒ぞろいのスペイン、ティーム力のギリシャ、アメリカ以外の国が勝っても決して不思議ではないのだ。バスケットファンにとっては「ほんもの」が見られる絶好のチャンスの世界選手権、ぜひ、会場に足を運び、迫真の妙技を堪能してみよう。



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