Column No.177 (2006/05/31デイリースポーツ掲載分)
◎ 連続、連勝のテニス界

 四大大会では最もお洒落なローランギャロス・全仏オープンテニスが初夏のブローニュの森で始まった。大会の歴史は77回を数える。今年の大会は今までの14日から15日間になった。大会のドローもコンピューターを導入するなど伝統を守りつつも、新しい展開を試みている。優勝賞金も史上初めて男女同額で約1億4千万円にアップされている。
 初戦を突破した杉山愛のグランドスラムの連続出場回数は現役トップタイの48回目になった。真面目に、ひたむきにテニスに取り組む杉山らしい記録といえるだろう。かって戦った相手が引退して会いにきてくれるたびに「怪我をせず、健康にテニスが出来ることに感謝です」とインタビューのたびに答えている。48回の連続出場は以前ダブルスを組んだロシアのリホベツェワと並んでいる。連続出場は怪我をしないことと、それなりの成績を収めていないと出来ない記録である。「4回戦までいけば、第1シードの、モレスモーと対戦できるチャンス」と杉山は手ごたえを感じている様子だ。
 連勝となれば、グランドスラムで昨年のウインブルドン、全米、今年の全豪に続き4連勝を狙っているロジャー・フェデラーの「ロジャースラム」が焦点である。このところ、「負けないロジャー」も全仏だけはまだタイトルがない。初戦の相手は予選で拾われたハルトフェルドという無名の選手だったが、立ち上がり3ゲームを落とす大苦戦、グランドスラム7勝のフェデラーにして「初戦のプレッシャーは特別、落ち着け、落ち着け」と言い聞かせたそうだ。グランドスラムの四連勝は正直、至難の業、かなり厳しいと見られる。
 その対抗が全仏に連覇を狙う19歳のクレーコートの王者・ラファエル・ナダルの存在である。ナダルにも連勝の様々な記録がかかっている。初戦、スエーデンのロビン・ソダーリングを破り、クレーコートの連勝記録を54に延ばした。ナダルには全仏の2連覇がかかる。昨年からのクレーコートの優勝9大会連続優勝、クレーの決勝で12勝、負けなし、フェデラーに対しても昨年の全仏の準決勝、今年のドバイ、モンテカルロ、ローマの決勝と4連勝を続けている。
 「過去の優勝者が感じたであろう連覇の重圧は感じる。冷静さを保ち、一球ごとに全力を尽くしたい」とナダルはいう。彼は、6月3日が20歳の誕生日、大会の7日目になる。ボルグと並んだ十代の16勝はタイで終わるのだが、いくつもの連勝記録は続くのだろうか。
 世界のテニスファンが期待する決勝のナダル対フェデラー戦は実現するのだろうか。いずれにせよ、どちらかの連勝が止まることは確実なのだが。



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