Column No.176 (2006/05/24デイリースポーツ掲載分)
◎ パフォーマンスの時代

 先週、久留米と福岡に講演に出かけた際、地元の方々からこんな意見を聞かされた。「ゴルフの宮里藍のへそだしスタイルはなんとかならんものでしょうかねぇ。私らの年代では見ていて恥ずかしくなるんですよ」そういえば、王監督と話していたときにも、「なんで、へそまでだすんだろうねぇ。」「そうですねぇ。ゴルフもテニスもアマチュワには厳しいのに、プロ、殊に女子プロには甘いんですよ」
 マナーや服装に関する考えを聞いただけでも、世代の隔たりを感じるのは今も昔も変わらないだろう。新庄が襟付きのアンダーシャツで出場したさいに、審判にきっちりと確認したのも王監督だった。このところ、新庄選手のパフォーマンス・自己表現がマスコミの話題になっている。手を変え品を変え、次々とアイディアが出てくるものだと感心させられるのは、私だけではないだろう。先日、テレビのインタビューを聞いていて新庄が心境を語っていたのは興味ぶかかった。「注目を集め、いろんなことをやって、失敗したり、野球の結果がでなかったら、笑いものになるだけでしょう。自分にプレッシャーをかけてるんですよ」というようなニアンスの答えをしていた。新庄流で面白いと思う。昔、金田正一さんもそのようなことを言っていた記憶がある。「大きなことを言って、出来ないと恥をかく。だから、大法螺ふきで終わらないようにやってみせるように努力するんや」
 私が師と仰ぐ鶴岡一人さんが色紙に良く書かれた言葉は「不言実行」だったが、「有言実行」というやり方もあるわけだ。それにしても、プロ野球、テニス、ゴルフなどの人気スポーツもある種の規定をするときにきているだろう。これも、ユニフォームのある野球とないゴルフやテニスでは違ってくる。今は、ただ勝つだけではなく、魅力的に見せて勝つ時代、殊に女子のスポーツは美しさや可愛さが話題になるから、ますますエスカレートする。テニスのシャラポワはネグリジェに限りなく近いことがある。いいと思うか、おかしいと思うかは世代感覚で違ってくるだろう。
 試合前の練習着、先日の広島カープのTシャツはユーモアーに溢れていた。「私はベースを投げます」「奴はまたやってしまった」「監督はベースを投げます」監督と選手の距離を縮めようという意図もあるようだ。最近はアメリカの影響で試合前の練習着はカジュアルだ。ロッテは夏になると半ズボンにTシャツで練習する。怪我が心配だが、気持ちよさそうに見える。いずれにしても、「ファンのためにやっている」などといわず、「自分のため」とだけは言って欲しいのだ。



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