Column No.152 (2005/11/16デイリースポーツ掲載分)
◎ アジアシリーズの成功

 東京ドームで行われた第1回コナミカップ・アジアシリーズは千葉ロッテマリーンズの優勝で幕を閉じた。日本、韓国、台湾、中国の代表ティームが集まり、総当りの予選リーグと決勝戦が行われたのだが、大会は成功したといえるだろう。決勝戦のロッテvsサムソン戦は3万7千、予選リーグの対戦も2万7千の観衆を集めた。来年のワールドベースボールクラシックを前に、初めてアジアNo.1を決める大会が実現、野球の国際化へ向けてプロも遅ればせながら動き出したのである。
 予選から決勝戦まで優勝したロッテはまったく危なげない全員野球を展開した。投手力の安定、誰が出ても持ち味を出す見事なバレンタイン采配が見られた。プレイオフの西武、ソフトバンク戦、日本シリーズの阪神戦に続いてこのアジアシリーズもボビー流が浸透していた。主力の福浦、堀、小坂を欠いての戦いが、まったく気にならないというところに、ロッテの全員野球の質の高さが見られたといっていいだろう。固定観念に捕らわれない選手起用、データ分析とその活用、失敗を恐れず選手を信頼する心と心の繋がり、そしてファンとの一体感である。バレンタインの地道なサービス精神がファンの心を捉えた。背番号26のユニフォームはその象徴といえるだろう。
 参加国の印象は、今までの国際試合で日本のライバルだった韓国と台湾がやや低調だったように思えた。韓国・サムスンは怪我人に苦しんだようだが、今シリーズに関していえば、ロッテがハラハラするようなシーンはまったく見られなかった。ソン・ドン・ヨル監督が「日本と韓国の力は7対3」と分析したのは正しい評価だったようだ。台湾は個々には素晴らしい選手がいるが、主力はアメリカ、中南米からの外国人に依存している。郭泰源、郭源治のイメージがいつまでも残っているのだが、彼らは稀な存在だったことが判る。北京五輪を迎える中国だけは、単独ティームではなかったが、一番収穫を経験したはずだ。
 来年以降の課題は日本が登場しない試合の観客動員をどうするかだ。デーゲームとナイトに分けず、続けてやる方がいいのではないだろうか。
 今回はTBS、テレビ朝日、日本テレビが地上波で日本戦を放送、全7試合をCS(スカイパーフェクト)のジェイスポーツが放送した。韓国向けの国際映像を含めてジェイスポーツがホスト放送局を務めたことも特筆される。スポーツ放送の世界もこれからはBS、CSの時代に向かっていくはずだ。



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