Column No.141 (2005/08/31デイリースポーツ掲載分)
◎ 華やかなテニスの舞台

 晩夏のニューヨークで今年も全米オープンテニスが始まった。グランドスラムの4大の中で、全米は最も華やかにドラマティックに演出される。センターコートのアーサーアッシュスタジアムのナイトセッションはまるでブロードウエーのミュージカルを見るようにうっとりさせられることがある。それは、ニューヨークの大摩天楼が夕映えに赤く染まり、刻々と空の色が変化する。見下ろす大スタジアムのコートでは、男女のスター選手が競演するさまは夢のような舞台と化するのだ。
 この2週間のドラマのヒーロー、ヒロインは誰になるのだろうか。男子はシードNo.1のロジャー・フェデラーが圧倒的に強そうだ。誰が優勝するかを予想するより、誰がフェデラーを倒せるのかに興味は集まっている。フェデラーの連覇じゃ面白くないとまでいえそうな絶対的安定感である。
 対照的に女子は大混戦で目茶目茶面白い。久しぶりにアメリカ、ロシア、ベルギーのスターたちが出揃った。地元アメリカはこの2年間、決勝に残れなかった。この2年、決勝の舞台を闘ったのはベルギー対決、ロシア対決だった。今年の主役は誰なのか。最近の成績、調子で見ると、ベルギーのキム・クライシュテルスがいい。今季6勝している。米のダベンポートも好調で先週の大会で優勝、世界ランク1位をシャラポワから奪い返し全豪、全英も準優勝だった。ウイリアムズ姉妹も今年は怪我から復活、姉ビーナスは全英を、妹セレナは全豪を制した。ベルギーのエナンもウイルス性の疾患から立ち直り、全仏のタイトルをとっている。ロシア勢はやはりシャラポワが筆頭だろう。初めて今大会は第1シードで登場、僅か1週間だったが世界ランク1位も経験した。「重荷に感ずることはない」と語っている。去年優勝したクズネッォワ、準優勝のデメンテイェワも実力派である。となると、それぞれのクェッションをどう克服するかだろう。シャラポワは右胸下の筋肉痛で2週間試合から離れ治療と練習にあててきた。「よくなっている。もう大丈夫」
 クライシュテルスはグランドスラムの決勝で二度とも負けている。エナンは全仏で勝ったのに全英は1回戦負け、ウイルス性の疾患の心配が残る。ダベンポートも無理のきく年ではないし、グランドスラムの優勝から遠ざかっている。ウイリアムズ姉妹もかっての絶対的なパワーで相手を粉砕するとはいいがたい。デメンテイェワのまずいサーブ、クズネッォワも今年未勝利である。百花繚乱の女子テニス、WOWOWの中継に乞う、ご期待のほど。



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