Column No.117 (2005/03/16デイリースポーツ掲載分)
◎ チャリティゲーム

 ロッテ・バレンタイン監督が提案した災害地復興を支援する「チャリティドリームゲーム」が一昨日(3月14日)の月曜日、東京ドームで行われた。季節はずれの「オールスターゲーム」、日本人選抜と外国人選抜という対戦は興味深いものだった。開幕前のこの時期は怪我が怖い。まして、チャリティ戦だから日本人ティームの監督を務めた伊東監督は、試合前から気をつかっていた。そんな中、選手たちは全力のプレーを行って、被災地の復興に向けての姿勢を示してくれた。
 この試合をジェイスポーツ(CS放送:スカイ・パーフェクトTV)が生中継したので私も実況をさせてもらったのだが、素晴らしいプレー、殊に守りと全力疾走が「勇気」を与えてくれたはずだ。赤星の速攻の盗塁、ロッテ・ベニーの全力疾走、小坂、川崎のアクロバティックなファインプレー、関本の力強いダイビングキャッチ、新外国人・日本ハムのアルモンテの攻守とパワーの一発、野球の魅力は、まさにパワーとスピードだった。
 このドリームゲームを主催した日本プロ野球組織の発表した今年のスローガンは「フルスイング」。被災地の復興に向けて、清原は一際、存在感をアピールする二塁打を放った。全選手がサインした巨大な白球へのメッセージに清原は「オレのフルスイングを見ろ」と書き込んだ。そんな思いを清原は最初からやって見せてくれたのだ。ファンの願っていることを実現するのがスーパースターの証である。
 東京ドームの三塁側スタンドには新潟中越地震の被災地の方々500人が招待されて観戦に訪れていた。彼らも大きな横断幕に「全国の皆さん、ありがとう」と感謝の心を表していた。試合前、松坂投手らも先頭にたって球場内で募金活動に協力を行っていた。最終的な数字ではないが、この試合の最中に発表された基金は800万円を超えていた。インターネットを使ったオークションの売り上げが加われば、恐らく1000万前後の基金が被災地に送られることになるだろう。
 このチャリティドリームゲームを提案した外国人選抜の監督バレンタインは終始嬉しそうに笑顔だった。「今夜のファンはティームではなく試合そのものを応援してくれた。そして、チャリティにも協力してくれて嬉しかった。感謝したい」いいことをすると、気持ちのいいものだ。選手もファンも心にぬくもりを感じて球場をあとにしたことだろう。私も放送が終わって爽やかな気分だった。
 観衆、16728人、平日のナイターとはいえ、もっと多くのプロ野球ファンに「社会貢献」して欲しかった。



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