Column No.100 (2004/11/03デイリースポーツ掲載分)
◎旅に思うこと


モザイク模様のもみじ、もみじ、もみじ・・・・・

 この春、星野仙一SDと「旅」についてインタビューをした。JR東日本の「大人の休日」という雑誌だったのだが、その時関係者の方から、「秋になったら、是非東北の旅を」と勧められていた。
 星野さんとのトークエッセイの中で、かれは「プロ野球40年のうち、半分は旅から旅の生活でした。成績が良いときは美しい自然が視野に入ってくるんです。旅の落ち着いた時間の中で、思いがけない発想が浮かんでくることがある。何かを発見できる、いつもとは違うひと時ですね」『紅葉と温泉と発見』を求めて、先週東北に車を走らせた。
 まずは、来年のNHK大河ドラマの舞台となる中尊寺・金色堂を訪ねた。紅葉にはまだ早かったのだが、金色堂の横にある一本の楓だけは真っ赤に色づいていた(写真左)。岩手・秋田の県境の栗駒山に向かう。上るほどに紅葉の樹林が広がる。宿泊地・須川温泉は、もやの中、エメラルドと乳白色が混じった湯、実も心も洗われ、時のたつのも忘れるほどだった。二日目は小雨、もみじの名所・鳴子峡に向かう。谷と谷にかかる橋をバックに、色鮮やかなもみじの大パノラマが広がっている。急峻な階段を降り、渓谷のせせらぎに沿って散策する。見上げるとモザイク模様のもみじ、もみじ、もみじ。霧雨の紅葉も風情がある。

 蔵王の露天風呂につかり、反対側の遠刈田(とおがった)温泉に宿をとる。ここは鉄分のうす茶色の湯。翌朝、宿の女将のお茶と会話のもてなしが素晴らしかった。「お若いころは美人だったでしょうねぇ」とわざと言ったら、「あらぁ、今でもじゃないんですか?」とたしなめられた。また行ってみたい静かな宿だった。
 最後に仙台に向かう。新球団のフランチャイズ・宮城球場に寄ってみた(写真下)。昔、ロッテの準フランチャイズの頃は何度も来たし、昨年も野球のオリックス対ダイエーの大乱戦の放送をしている。放送の時と違って球場だけを見ると、これを改修するのは大変なことだと、改めて思うのだ。グランド内はともかく、スタンドの大きさ、ロッカーなどの設備、取材席、放送席など改修すべきところはたくさんある。プロ野球として「夢を売る」球場にするには、金と時も急がなくてはならないだろう。
 旅の終わりに「やっぱり、仕事人間だ」と再発見してしまったのだが・・・・・



「宮城球場」の看板の下に「私」がいます・・・・


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