Column No.96 (2004/10/05デイリースポーツ掲載分)
◎「僕はラジオ」から

 デイリースポーツの芸能欄に紹介されていた映画案内の心動かされて、先日「僕はラジオ」を見に行った。この映画は実話を元にしたもので、舞台はアメフトやバスケットだが、スポーツの感動だけをテーマにしたものではなかった。アメリカ・サウスキャロライナ州にある高校のアメフト部の名誉コーチ「ラジオ」と呼ばれる青年の話である。
 「ラジオ」という名は、もちろんニックネーム、いつも「ラジオ」を離さず、音楽を聴いている知的障害をもった青年のことだ。
 ラジオは人より少し頭の回転が遅いだけという優しい心の持ち主で、コーチの心配りから高校生ティームの人気者になり、学校で生活するようになる。しかし、生徒でもないラジオが授業に出ることに抗議する反対派も出て、ラジオは学校から排除されそうになる。
 彼を導くコーチは?、苦慮する校長は?、ティームメートは?、そしてラジオの運命は・・・・・・
 よくある美談に収まりがちだが、この映画の素晴らしさは、最後に今も健在のラジオが登場することなのです。知的障害を持つ青年は、人間の素晴らしいところだけを凝縮して持っていました。嘘をついたり、騙したり、悪口を言ったり、悪事を働いたりするのは知的要素が進み過ぎるからなのだと、改めて思い知らされました。心やさしい青年ラジオは人を疑うことなどこれっぽっちもないのです。
 先日、日本の大リーガー1号として活躍した村上雅則さんのチャリティゴルフコンペが行われ、私も参加しました。この会は今年で10年、知的発達障害者の基金、スペシャルオリンピックスに協力を続けています。チャリチィと称してオークションを行い、どうチャリチィされたのか疑問符のつくゴルフコンペがある中、マッシー村上さんは、誠実に知的障害者の支援に10年も取り組んできました。行動しているのは奥様です。二人とその仲間の皆さんの基金は少しづつですが、積み上げられてきたのです。
 スペシャルオリンピックスといえば、来年2月冬の世界大会が長野で開かれます。世界中の「ラジオ」が日本に集まってきます。今度は「僕はテレビ」になってくれるのを期待したいのです。



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