Column No.95 (2004/09/29デイリースポーツ掲載分)
◎パリーグ・初のプレーオフへ

  今週の金曜日からパリーグのプレイオフが始まる。
 パリーグのオーナー懇親会で決まったこの制度に当初は賛否両論、どちらかといえば危ぶむ意見の方が多かった。
 ところが、ここまでは二重丸である。今季のパリーグは消化試合がなかったのだ。スト明けの祭日のセ・パ両リーグの観客動員を比べるとパリーグがセリーグを上回った。ダイエー・西武の首位争い以上に終盤を盛り上げたのは日本ハムと千葉ロッテだ。
 最終的には1勝と1分けの差で日本ハムが3位に入りプレイオフ第1ステージ出場権を得たが、新庄のパフォーマンスを含めた活躍はMVPにも値する。松中の三冠王にMVPは落ち着くだろうが、「これからは野球はパリーグ」といって入団した新庄のコメントを改めて思いだすにつけ、特別MVPを贈りたいほどだ。
 ロッテのバレンタイン効果とロッテファンの素晴らしい応援も特筆される。出来ることなら、両チームにプレイオフ出場権を与えたかった。
 プレイオフの第一ステージを戦う西武・伊東監督が「どちらかといえば、ロッテの応援の方が戦う相手としては嫌ですね」と、言わせたほどだ。
 オリックス・近鉄の合併に端を発した再編成、労使交渉、ストライキ、ライブドア、楽天の参入、激動のプロ野球70年目だったが、パリーグは決して悲観的ではないということだ。
 巨人にぶら下がらずとも、真の野球ファンが沢山支持してくれていることを闘争によって確信できたではないか。
 プロ野球中継に30年以上も携わっていて、消化試合のないシーズンを過ごしたのは初めての経験といえそうだ。消化試合の放送ほど難しくまた空しいものはない。
 最後の試合となるヤフーBBのオリックスvs近鉄は、本来は消化試合だ。しかるにこれが来季の両者合併による最終試合となった。阪急、近鉄時代の華やかな激しい戦いの日々を思い出しながら、私は開始直前のグランドを見つめながら、この文章を書いている。
 別れは出会いの始めなり・・プレイオフに期待してほしい。



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