Column No.77 (2004/05/05デイリースポーツ掲載分)
◎めったにない投手戦


 開幕から1ヶ月が過ぎたプロ野球パリーグ、連日、打高投低の試合が多いのはどうしたことだろう。先週、オリックスの試合をナゴヤで実況したが、先発投手がことごとく試合を壊し、試合を作ることが出来ないできない。コントロールを乱し、自滅してしまうのだ。八木沢ピッチングコーチが嘆いていた。「ブルペンや練習では捕手が構えたところに来るのに、実際のマウンドになるとストライクがこない」。若手や経験のない投手なら仕方がないが、エース級をはじめとしたローテーション投手がこの状態では、きめ細かい野球を井原新監督やろうとしてもやりようがない状態だ。28試合で相手に二桁ヒットを打たれた試合が20試合、投手防御率はなんと7.14という前代未聞の数字である。投手陣の猛省と奮起を促したい。
 投手で苦労しているのはオリックスだけではない。2位のダイエーもストッパー不在で逃げ切れず追いつかれ逆転負けが多い。先週までの12敗のうち7敗が1点差負けである。現代のプロ野球で不可欠の存在といえるストッパーがいないまま戦っているのはパリーグでダイエー、セリーグで巨人ということになる。それでも史上最強打線と称してホームランでしか点の取れない巨人と違い、ダイエーはティーム力と打線のつながりで貯金がある。自慢の先発若手投手陣の故障が治れば、ストッパーを欠くとはいいながらもペナントレースを優位に戦っていけるだろう。しかし、ストッパー不在はアキレスケンだ。
 絶対のストッパー、小林雅を持つロッテが今年は小林で逃げ切れず、4つも星を落としてしまった。勝負の型をつくっても小林雅の昨年、一昨年のような投球がない限り、バレンタインによる悲願のAクラス入りは赤信号となるだろう。
 そうした中で、西武の伊東新監督の我慢強さとピンチにもバタバタしない采配には驚かされる。好調な打撃が脚光を浴びているのが、帆足、西口、大沼を辛抱して使った采配に捕手出身の我慢のリードぶりが伺える。キャンプで出遅れた西口、石井、森を慌てずに待っていた。ようやく、今森と豊田がそろった。エース松阪が万全ではないのに首位を走りはじめている。ペナントレースはやはり、投手陣につきるようだ。それにしても、3日に1試合ぐらいは緊迫した投手戦をみせて欲しい。



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