Column No.67 (2004/02/18デイリースポーツ掲載分)
◎ キャンプ余話

 キャンプ地を訪れ、挨拶かたがた一年間のネタを仕込むたびが始まった。キャンプ取材の楽しさは思いがけない話が聞けたり、いろいろな人に会えることだ。
 沖縄に着いた夜、沖縄料理の店に飛び込んだ。名古屋から来たという二人連れの野球ファンと泡盛を飲むうち話が弾んだ。
「今年は落合さんに期待しているんですよぉ」去年までは星野阪神でした。今年は落合さん。あの人は偉い、自分の目で見ようと高い金を払って選手もとらず育てようとしている。それに引き換え巨人はカネ、カネ・・・・」泡盛の勢いで最後は巨人の批判まで始めたが、ファンの中には監督の指導力、ティーム運営を見ようという人もいることを知り嬉しくなった。
 フォークボールの元祖、評論家の杉下茂さんと練習を見ながら昔話、「そういえば白木儀一さんがお亡くなりになりましたねぇ」というと、「華麗なフォームだったねぇ。コントロールに自信を持っていたから、わざと三つ続けてボールを投げる。そこからきっちりストライクをとる。あの人の四球は見たことがないくらいだった。ピッチャーゴロをとってホームへ投げる。捕手が一塁へ投げてアウトにする。何しろプロだからお遊びもありだ」
 こんな話はキャンプ取材だから聞ける。79歳の杉下さん、今年は横浜ベイスターズのキャンプ臨時コーチをしている。技と教える力は不滅のようだ。
 本誌評論家の上田利治さんと雑談しながら横浜の練習を見る。「広島の木村が夜の町で客に殴られ、あごの骨を骨折したんですって?」「怖いねぇ、キャンプ地の夜は、私も阪急のキャンプ地・高知に入ると、最初に行くのは高知県警、間違いのないようにお願いに行ったものです。あのころの阪急はつわものどもが揃っていたから」そこへ、鉄人・衣笠さん登場、「あれっ?衣さん太りましたかぁ?」「そうなんですよぉ、76キロ。現役でこの位あったら、もっとやれたんですがねぇ」ウエさんと顔を見合わせ、大笑い。「あんなにやって、まだやる気ですかぁ」
 これだからキャンプは楽しい。



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