Column No.66 (2004/02/11デイリースポーツ掲載分)
◎過密日程のツケ

 先週、東京で行われた女子テニスの東レパンパシは、全豪オープンの直後であり、ヴィーナス・ウイリアムスの初来日、杉山愛の第四シード、アイドル揃っての登場と話題も豊富で会場の東京体育館は連日超満員だった。ところが、期待は完全に裏切られた。トップ選手のけがによる棄権、体調不良が相次いだからだ。
 盛り上がったのは美女対決となったハンチュコワーシャラポワ戦と元女王ナブラチロワのダブルスでの日本最終戦だけとはいただけない。真夏のオーストラリアから真冬の日本に戻り、風邪、発熱の杉山愛は、責任感から頑張って出場したが、戦うには難しかった。腹筋のけがから半年ぶりに復帰したヴィーナス、全豪での三回戦敗退の試合は復活には程遠いとみていたが、今回は全豪で痛めた右足の筋肉痛で、なんと準々決勝で戦わずして棄権、そのビーナスの棄権で準決勝に進んだチャンダ・ルビンが、左ひざ痛で棄権、もう一つ準決勝に進んだ元祖美少女・ドキッチは左足を痛めており、棄権するか迷った末のダベンポート戦だったのだから、試合にならなかった。
 高いチケットを買って楽しみに会場を訪れたテニスファンにとってはたまったものではない。選手のけがが多いのは今大会に限ったことではない。先々週、中継に行った全豪オープンもセレナ、カプリアティは怪我から出場できなかったし、男女の準々決勝で、グロージャン、モレスモーの仏勢が揃ってけがで棄権し、興をそぐ結果になってしまった。
 選手の故障の多さは、過密スケジュールに原因がある。テニスは世界ツアーで1月から11月まで男女とも約70試合が行われている。しかも、サーフェスといっているコートの種類は、芝、クレー、ハードと様々である。昔は優雅なスポーツだったテニスが、今では最も過激なスポーツであり、世界中を転々とツアーして行く厳しさの中にある。選手寿命は短い。アガシのように33歳でトップにいるのはなままかな精進ではない。それこそ、アイドルで騒がれている選手は短命となる。もっと、選手とファンを大切にするプロ意識であってほしい。「無事、これ名馬」の言葉をテニス界に投げつけよう。



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