真夏のオーストラリアでテニス中継をやって日本に帰ると寒さが身にしみる。まして、近鉄の球団名売却のニュースがキャンプイン前日に飛び出した。NHKの夜7時のニュースの冒頭に宮崎入りした近鉄の選手たちが映し出されたのを見て、「何で近鉄なんだ。俺は時差ぼけをしているのか?」と思ったほどだ。この問題についてはまだ軽々には発言できないので、しばらく推移を見たいと思うが、タイミングの悪さと野球協約の問題を考えると、なんともやり切れず寒さが倍増した。
キャンプがスタートすると、やはり「球春」を実感する。今年は6人の新監督が誕生したし、話題のルーキー、大物新外国人の加入、パ・リーグのプレイオフ制度、ダイエーの連覇なるか、五輪との兼ね合いはどうか、などと例年以上に興味深い。
40年近くキャンプ取材を続けているが、キャンプ取材ポイントは「新しいもの」と「変わったもの」、それに「変わらないもの」「変えないもの」をみることにある。一ヶ所に常駐する取材記者とは違い、私の日程は1球団1日である。「ちょっと覗いてみる」だけなのだ。それでも、40年やり続けていれば40年の積み重ねとなって私の「野球感」の中に蓄積されていく。おこがましいのだが、話を聞くより「自分の目」を肥やしたいのだ。だから、新聞は事実関係の記事だけを参考にする。TVのスポーツニュースはほとんど関心がないし見ようともしない。つまり、「マイペースの野球と親しむ旅」なのだ。
今年、一番興味を持っているのは、阪神ファンには申し訳ないのだが、中日の落合監督である。星野さんもそうだったが、落合さんも「オレ流」とよくいう。キャンプ開幕日の紅白戦、1、2軍に分けない練習など落合監督が「名前や実績にとらわれず、自分の目で確認する」という姿勢に共感を覚えるからだ。
V9監督だった川上哲治さんと電話で話していたら「今年は沖縄に行ってみようと思っているんですよ」「ほう、宮崎じゃないんですか?どこに目をつけられましたか?」「落合がどんなキャンプをするか、見てみたいですわ。ワッ八ッ八ッハ」ですと・・・・・・。
「打撃の神様・V9監督」も、今風にいえば「オレ流」だったのだ。 |