Column No.60 (2003/12/24デイリースポーツ掲載分)
◎タスキの青春

 駅伝シーズンが到来した。先週の日曜日、京都の高校駅伝を何年か振りにTV観戦した。スピード化が年々進んでいること、留学生の活躍による全体のレベルアップなどが続いていることを確認させられた。日本の伝統である「エキデン」の中にも変わらないものと進歩したものを感じるのだ。
 「タスキを受け継ぐ心」はいつの時代にも不変に伝承されている。そして、男子で優勝した仙台育英高校の記録は2時間2分7秒まで進む大会最高記録だった。
 監督の渡辺隆夫さんとは、古くから親交があるので夜電話を入れると、喜びの弾んだ声が声がかえってきた。
 「TVのインタビューでも言ったんですが、2時間1分59秒を目標にしていたんですが、ちょっと届きませんでした。来年の楽しみにしておきます」
 「何がよかったのですか?」
 「調整がうまくいきました。全員がいいコンディションで望めましたから」
 「渡辺さんの優勝は何回目でしたっけ?」
 「4回目です。最初は島村さんに喋ってもらった埼玉栄時代、仙台では3回目、ここでは3勝2敗です」。
 再会を約して電話を切ったが、全国高校駅伝での3勝2敗はとてつもなく凄い。外国人留学生の力を借りているからと、やっかむ声もあるが、私は以前からいいことだと思っている。仙台育英の留学制度は二階堂前監督からのものだ。留学生の異国での努力を見て、皆が頑張る心をもらっているのだからそれでいいのだ。
 日本のレベルアップにも繋がって来ているし、国際化の門戸はどんどん開くべきなのだ。仙台育英の優勝メンバーは3年生なしの快挙だったから、来年は2時間の壁すら破る夢の記録が出るかもしれない。
 駅伝の極意は「タスキをつなぐ心」と、全員がよいコンディションで当日を迎えることだろう。渡辺さんが初めて勝った埼玉栄高校の16年前の優勝タイムは2時間5分57秒の大会新、残り800までのアンカー勝負の激しいデットヒート、放送席の私も興奮したものだ。その晩、宿舎に伺って渡辺さんの労をねぎらったことを思い出す。その時、同伴した若い道谷真平アナが、今回のマイクを握っていた。過不足ない、いい放送だった。



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