Column No.51 (2003/10/29デイリースポーツ掲載分)
◎日本シリーズに乾杯!

  両手、両足をまっすぐ伸ばした王監督の日本一の胴上げで今年の白熱のシリーズは幕を閉じた。
 歴史に残る、10年ぶりに7戦までもつれ込んだ面白い日本シリーズだった。王監督、星野監督、両ティームの選手、関係者に心からのねぎらいと敬意を表したい。それにしても、まれに見る「「内弁慶シリーズ」となり、両ティームの特徴の出た7戦といえよう。ダイエーは初戦を除けば一方的か、マイペースの勝利、阪神は逆転や競り合いの勝利とシーズン中と同じような勝ちパターンだった。
 7戦を通じてベンチの王監督、星野監督の動きや表情が対照的で興味深かった。「動の王」「静の星野」、これもシリーズ中と変わりがなかった。
 「闘将・星野監督」は、審判に抗議するとき意外は静かに腕組みをして試合を見つめ、打つ手を考えていた。沈思黙考スタイルである。王監督はよくしゃべり、声を出し打ったり投げたりのジェスチャーが豊富、自然体スタイルだ。大声を出し続けた王監督のインタビューでの声はかすれていた。選手を叱咤激励するやり方が2人は違う。王監督はストレートに、星野監督はちょっとひねって、選手を働かせた。人の動かし方、使い方はさまざまだ。
 ダイエーは王監督が目指すティーム、完成度の高いティームに近づき、ここ数年は王座が続きそうだ。100打点カルテットの強力打線と機動力、松中、城島のティームリード、若く左右のバランスのとれた投手陣、まさにチャンピオンティームに相応しいといえる。
 巨人を離れ、九州の地に築いた王さんの理想、ここまでの苦労、改めて「おめでとう王さん、素晴らしい自然体の日本一」と、祝福を送りたい。
 日本一を掴みかけた星野監督だが、表彰式の穏やかな晴れ晴れとした表情に安堵感を覚えた。左投手対策と9月中旬以降の打線の下降とつながりのなさがシリーズでも出てしまったが、改めて調整の難しさを感じさせられた。阪神は、まだ発展途上ティームだ。次に続く夢がある。「明日から良く眠れる」と言った星野監督の言葉に、監督の激務が忍ばれた。オフはゴルフ場で待っているよ。



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