Column No.47 (2003/10/01デイリースポーツ掲載分)
◎ミスター59

 48歳になる倉本昌弘がアコム・インターナショナルの初日に59をマークした。この10年は本職のゴルフの方はパッとせず、ゴルフツアー機構の仕事で精力的に活動しており、今シーズンからは副理事長に就任した。選手・倉本としては、もう終わってしまったのかと思っていたが、大記録を出しての復活、しかも最終日にはジャンボ、宮本勝昌とのプレーオフを制しての優勝だから二重のおめでたである。
 私のNHK時代、米のゴルフツアーの放送が始まった頃、倉本はアメリカで戦っていた。小さな身体の飛ばし屋だったから「ポパイ」、または名前をもじって「マッシー」と呼ばれ親しまれていた。
 プレーだけでなく、理論家であり、ルールにも詳しかった。プロゴルファーは、どちらかというと理論派は少ないし、ルールに疎い選手が多いのだ。マッシーは、まさに国際派プレーヤーだったのである。
 インタビューで「これからはミスター59と呼んでください」といっていたように、アメリカでは最初に59をマークしたある・ガイバーガーを「ミスター59」と呼んでいる。ガイバーガーはツアーで11勝、メジャーもPGA選手権に勝ったし、シニアでも10勝している。ガイバーガーの59は39歳の時の記録である。その後、91年にチップ・ベック、99年にデビット・デュバールが記録したが、その後二人は絶不調に陥ったままだ。不思議に「ミスター59」の称号はガイバーガーだけである。
 ガイバーガーが出したテネシー州コルドバのコロニアルCCを私は訪ねたことがある。もう5年も前のことだ。クラブハウスからコースを見渡す正面にガイバーガーの銅像と59のスコアーカードを刻んだ記念碑が建立されていた。私はガイバーガーさんの銅像と肩を組んで記念写真を撮ってきた。「ハーフで59を叩くなよ!」と、ミスターに囁かれたような気がしたのだが・・・・
 記憶は薄れるものだ。石岡GCにも、ぜひ立派な記念碑を残してほしい。その際、「48歳、世界最年長のミスター59」を忘れずに・・・・・



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