Column No.41 (2003/08/13デイリースポーツ掲載分)
◎全米プロゴルフ始まる

 今、私は今年最後のメジャートーナメント、全米プロゴルフ選手権の中継にアメリカ・ニューヨーク州・ロチェスターのオークヒルカントリークラブに来ている。
 懐かしい思い出の地だ。13年前の全米オープンゴルフ選手権、当時はNHKのマイクを握っていたのだが最終日の10番でジャンボ尾崎がバーディーを取り、トップタイに並んだのだ。それはジャンボにとって、つかの間の輝きであり世界の頂点を一瞬だが垣間見たときあった。14番の短いうち下ろしのパー4のティーショットをアイアンで右に曲げ、セカンドをグリーンオーバー、返しが寄らずボギーとして後退、16番も失敗してジャンボは千載一遇のチャンスを逃したのだった。
 優勝したのはカーティス・ストレンジで前年に続いての二連覇だった。ストレンジは目立たぬように静かに我慢して耐え続けた。最終日の15番までなんと36ホール連続バーディーなし、上に上がる選手がグリーンの細かいアンジュレーションに苦戦、次々と脱落する中、36ホール目の16番でバーディーをとり、勝負どころで主役に躍りあがり二連覇を達成したのである。ストレンジらしい派手さのない、地味だが固いゴルフがメジャーにフィットしたのだ。
 今回の全米プロも、誰もがタイガーを主役に推すし、期待をしていることだろう。タイガーが勝つ条件は3日目までにトップにいること、気象コンディションがいいこと、微妙なアンジュレーションのグリーンでパットが入ること。この3つを満たすことが優勝へのカギだと私は分析している。
 このコースは飛ぶことが絶対的に有利とはいえない。全米で勝ったストレンジのように堅実に耐える人が勝つのではないだろうか。さすれば、マスターズに勝ち3勝のウイアー、全米オープンに勝ったフューリック、突然開花したケニー・ペリー、01年のチャンピオン、デビット・トムズらの名前が上げられよう。先週勝って今季4勝賞金ランクトップのディビス・ラブV世も好調だ。しかもこの2年は、トムズ、リッチ・ビームと伏兵がミケルソン、タイガーを下しての優勝だった。いずれにしても、メジャーはコースと内なる自分との戦いになる。WOWOW のマイクは羽川豊・水巻善典・岩間健二郎と私でお伝えする。請う、ご期待!

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