Column No.36 (2003/07/09デイリースポーツ掲載分)
◎さらば(ブラックサンデー)黒い日曜日

 心なしか取材陣の多い6日、日曜日のナゴヤドーム、試合は最下位オリックス対日本ハム。怖いもの見たさというのだろうか、この日までオリックスは日曜日の試合で23連敗を続けていた。去年の8月11日の西武戦以来、1引き分けを挟んでの公式記録に載っていない「珍記録」である。
 前日、19安打17得点、5本塁打の大勝で、レオン監督以下の選手達の表情も明るい。「ブラックサンデー、サヨナラしたいね。来たばかりのフィリップス投手に賭けるよ」とレオン監督。「どんな投手ですか?」「コントロールいいよ。でも、ちょっとナーバスになってるね。ボールも違うしね」「サヨナラブラック、ビューティフルサンデーにしようよ」ってな会話を交わし、放送席へ向かう。
 関西から来た放送スタッフ一同の「島村さんの強運だのみです。いつも何かが起きますから、頼みます」私は内心「勝つな」と予感はしていたが、いかにもNHK出身アナウンサーらしく、冷静さを装い、「フィリップスの出来だね」などと、サラッとかわして、喋り出した。
 試合は2点先行されたオリックスだが、日高の本塁打で逆襲、打線が文字通りつながり、あっというまに逆転、その後も打ちまくり、16安打で快勝した。日曜日の連敗は23でストップ、解説の高橋智さんは「五試合目の放送で初めて勝ちました」と現役時代に勝った時以上の喜びよう。スタッフの笑顔がはじけたことは言うまでもない。
 レオン監督が打線以上に褒めたたえたのは、急きょ7月2日にやってきたばかりで初登板したフィリップス投手、決して速くはないが、コントロールがよく、大きなカーブが有効だった。11年間の選手生活のほとんどはマイナー暮らし、今季3Aで10勝していたが、年齢も考え、日本での勝負を選択したそうだ。
 何かのきっかけで苦境を脱することがある。人、物、考え、色々要素はあるだろう。いずれにしても、オリックス、レオン監督にとってフィリップス投手は幸運の使者となって日本初登板を飾り、「ビューティフルサンデー」となった。次は神戸・ヤフーBBでのサンデー勝利、「日曜はだめよ」などとは言わせないことだ。



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