Column No.30 (2003/05/27デイリースポーツ掲載分)
◎監督と仙ちゃん

 「朝6時に目が覚めて退屈したよ」
 「俺も同じ。年をとると早起きになる」
 先週の土、日は松山でのS−T戦、たまたま阪神とホテルが一緒だったので、久しぶりに星野監督と「朝飯でも食おうか」ということになった。JSKYの放送があったので監督とアナウンサーの関係になるが、放送で使うような話はほとんどしないし、お互い暗黙の了解があるのだ。
 ただ、これだけは話しておこう。阪神ファンにわかって欲しいのは、勝てば勝つほど監督はいい内容を求め、真の実力を欲しがるのだ。今は阪神にとってペナントレースはいい流れだが、これから先何が起こるかわからない。いい時ほど心配性になるものなのだ。
 星の監督が言い続ける『きっちりした野球』『プロ野球選手としてのあり方』を阪神の選手に満足しているわけではないのだ。むしろ『まだまだ』、手綱をしっかりと絞めて、アメとムチを使い分けないと危ないと思っているのだ。 どんなにリードしていても怪我や病気が主力に出ればあっという間に勝てなくなる。 去年の阪神、横浜、今年の巨人、ヤクルトがいい例だ。こういう時だから星野監督は『油断』『その気になること』を恐れるのだ。
 これから、ますます星野監督の発言は『慎重になる』はずだ。報道関係やファンに『優勝』という言葉を言わせたくないのはそのためだ。別に、こんな話を監督としたわけではない。ニュアンスとして私が感じただけだ。2時間の長い朝飯の話題は昔話、ゴルフ、女、と他愛ない話に、散々笑って過ごした忙中閑あり。
 その夜、初回のチャンスを潰し、ムーア最短のKO。本当に何が起こるかわからない。翌日曜の昼、ベンチで会話し放送席に向かう前にこう言った。「飛行機に間に合うように、今日は勝って5時半までに終わってくれない?」 「そう願いたいねぇ。こっちも」試合は、片岡同点、兼本決勝と理想的。携帯の留守電電話に入れておいた。「ありがとう。予定通り東京について、一杯やってるよ」
 言っておくが、この時だけは、友人の気持ちになるのだ。



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