Column No.24 (2003/04/16デイリースポーツ掲載分)
◎マスターズ評

 マスターズチャンピオンにマイク・ウイアーが輝いた。初のカナダ人のメジャーチャンピオン、初のマスターズのレフティ優勝者でもある。ウイアーの優勝は番狂わせでもなんでもない。優勝候補の一人だったわけだから、今季の出来から言えば驚くことはない。今季2勝、賞金ランキングもタイガー、ラブV世についで3位、通算5勝のうちの2勝は世界ゴルフのアメリカンエクスプレスとツアー選手権というビッグタイトルだったのだから、あとはいつメジャーを制するのかというレベルの選手なのだ。
 タイガーは三日目にチャージしたが、最終日は前半で消えた。だからといって、マスターズがつまらなかったわけではない。放送を見ていて気になったのは、ゴルフファンがタイガーを応援するのはいいが、放送者がなぜタイガーに肩入れするような発言をくり返すのだろう。至上最強といっていいタイガーの勝つ確率が高いのはわかるが、なんでそんなに強いものを勝たせたいのだ。放送者は心を平常にもって臨まないと、肝心の一瞬を逃す事がある。
 伏兵レン・マティースが二打リードしての18番ティー、放送者のニアンスは優勝に近づき、ほぼ間違いないような感じに聞こえた。もっと18番のティーショットを大切に思って欲しかった。左右に木が張り出し、FWに打つのは難しいのだ。この一打が今大会の優勝を決めるショットになってしまった。マティースは曲げた。パーオンを諦めた彼は出して、刻んでボギー。このとき、追うウイアーは二打差だがまだバーディチャンスの15番のパー5にいたのだ。放送者はなぜ、この状況をクローズアップしなかったのだ。ここで二人は並びプレイオフにもつれ込んだのだ。プレイオフはマティースのミスで画龍点睛を欠いた。
力がありながら勝負弱いマティースの弱点が出てしまった。いい試合だったが名勝負とまではいえないだろう。でもタイガーが優勝にからまなくても、マスターズは面白いのだ。誰もが、マスターとして招待された選手なのだから・・・・



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