Column No.23 (2003/04/09デイリースポーツ掲載分)
◎女性の凄さ

 6日の日曜日、横浜国際プールに久しぶりに出かけた。大会は日本選手権を兼ねたシンクロナイズドスイミングジャパンオープン、世界のシンクロ界をリードする12ヶ国の水中花が勢揃いした。
 私も昔はシンクロの実況アナウンサー、ベルリンの世界選手権、ロサンゼルス五輪などでマイクを握ったが、草分けの時代だった。大会委員長の金子正子さん、世界的なコーチ井村雅代さんは、その頃の「師匠」でもある。ロスの五輪は解説のない時代だったので、金子さんに隣の席で演技の分析や印象をメモしてもらい、それを私はアナウンスした。肝心の日本が登場すると、金子さんは夢中になってしまい、メモに解説を書き込むどころではなかった。井村コーチに「シンクロってどんな放送がいいんでしょうかねぇ」と質問すると「島村さん、黙ってるのが一番とちゃいまっか」私はそのままアドバイスを守ったものだ。
 プールサイドで懐かしい顔に次々とあいさつを交わした。元好三和子さん、小谷美可子さん、田中京さん、五輪や世界選手権のメダリスト、今でも審判やJOCの委員、トレーナーとして活躍、相変わらず才色兼備で若々しい。美女が多いからではないが、以前から私はシンクロ界に敬意を払っている。シンクロは1970年代からの世界選手権、パンパシ、1984年からの五輪で、彼女達の活躍もあり、毎回必ずメダルを手にしている。これほど素晴らしい成果を続けているのは、おそらくシンクロだけではないだろうか。
 今大会の華・デュエットでは復活したロシアペアーと立花・武田組が0.001差の美の競演を演じたが、いずれも見ごたえのある高いレベルだった。ロシアの大人の女性の余裕ある演技、井村流の芸術性と観衆を酔わせる演技の対決だったが、今回はまだ序曲の始まりといっていい。今年の世界選手権も手の内を温存する通過点、フィナーレのアテネに向かって「女の熱き戦い」は続くのだろう。金子委員長は「世界と戦うには、スポンサーなどからのお金集めも大変なのですが、こういう質の高い大会を開いていかないと世界では勝てないのです」「されど女性は強し」なのだ。



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