Column No.22 (2003/04/02デイリースポーツ掲載分)
◎タイガーのライバル

 タイガーウッズの前に飛ばして攻め続ける選手といえば、デービス・ラブ三世だった。
 先週の準メジャーといわれるザ・プレイヤーズ選手権でラブは最終日の強風の中、5連続バーディ、勝負どころにかかる16番、パー5でイーグル。64をマーク、6打差をつけこの大会92年以来の優勝を飾った。今年は第5戦のペブルビーチ以来の2勝、通算の16勝目になる来週のマスターズに向けて打倒タイガーの一番手に浮上したといっていいだろう。
 大会コースのTPCソーグラスは上がり3ホールは池がからみ、逃げきりは難しい。私が放送していた頃も、ワクワク、ドキドキしながらマイクに向かい、画面を擬視していたものだ。今回も腹痛から出遅れたタイガーがやや遅いチャージを始めたが、名物の17番の浮島で池ポチャ、波紋とともに消えた。ラブの真骨頂はどんな時でも逃げず、攻め続けるゴルフだ。そのためにタイガーとの戦いにも敗れ、勝負弱いといわれてきた。外見はおとなしく見え、タイガーのような派手なジェスチャーはないが、見かけと心は違う。上がり3ホールの勝負どころの16番、3打リードの場面、ティーショットを左に曲げ、林の入り口から彼は池に突き出たグリーンに向かって攻めた。野地アナウンサーの実況は見事だった。「これが米ツアーで勝って来た者の強さだ」白球は鮮やかにピン手前に2オン、ラブはイーグルパットを沈め攻めて勝った。
 ラブは腰、肩、首を痛めスイングを崩していたが、ようやく回復、今年は飛ぶだけでなく弱点のFWキープ率もグ〜ンと上げたのが勝因になった。優勝したインタビューがこの人らしい誠実さが出ていて素晴らしかった。キャディに感謝し、一緒にまわったカプルスを讃え、気遣う発言は「善きアメリカ人」の典型といえよう。49歳のジェイ・ハースも頑張ったし、カプルスもブンブンから変身して復活の兆し、何だか「オールドディーズ」のようで嬉しかった。タイガーが勝つとマスコミは派手にとりあげるが、ラブ三世はポスト・二クラスと言われたことを忘れないで欲しい。



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