沖縄県宜野座と高知県安芸の阪神キャンプを取材した。
一日一球団を見るキャンプ巡りも阪神だけは星野監督が気がかりというか、会いたい気持ちが強く両方のキャンプ地を訪問したのだ。
「投手陣、よさそうじゃない?」「両外国人がいいねえ、左のウイリアム見てよ、全部手先で変化するんでフリーバッティングでうちの打者が嫌がるんだよ」 沖縄でポートとウイリアムスを見たが、ツーシームやチェンジアップと変化球がよく二人とも低めにコントロールされていた。「ウイリアムはどう使う?抑え?」「ううん、まだ迷ってるんだ。ただ中を厚くしたいし左が4枚いると大きいしなぁ〜」
どうやらウイリアムスからポートへつなぐ青写真を描いている様子だが、「迷っている」といったところに含みはまだありそうだ。いずれにしてもエース井川の存在感、ムーア・薮・藤田等の先発陣に伊良部・下柳らが加わり、投手陣は質量共に充実、どうやらポイントは両外国人の使い方と出来に大きなウエイトがあるように見受けられた。
紅白戦を見る。無死一三塁で二塁ゴロ三本間にはさむランダンプレーでミスが出た。三塁手がモタモタする間に一死ニ三塁になってしまった。打者を二塁まで進めるようでは高校野球でも問題だ。それこそキャンプが始まる時に星野監督が答えた「まだ甲子園に出場する宜野座高校より弱いですよ」というジョークを思い出してしまうほどだ。
広沢の走者一掃の二塁打、赤星の本塁打も吹っ飛んでしまうほど星野監督は紅白戦終了後、厳しい姿勢を見せた。
投手を含めたランダンプレーのやり直し練習を約30分みっちり行ったのだ。「監督、見せてもらってありがとうございました。まだまだ色々と大変だねえ」「そうでしょう、ここへ来る人たちが皆んな今年のタイガースは強い強いって言うけど、うちはまだまだなんですよ。本当に強いチームにするにはこれからやる事がいっぱいあるんです」
戦力が充実した今年、星野監督の発言や姿勢は微妙に変化している。去年は盛り上げ、勝ちぐせをつけ、意識を変えようとした。オーバーな表現も意識的にした節がある。今年は肝心なところは慎重に構え発言している。それは戦力の充実を感じているからだろう。しかしチームプレーを含めたチームとしての強さを確立するにはまだ時が必要なのだろう。
熱狂的な阪神ファンの皆さん、今年はまだ作り上げてゆく過程の年、期待はして欲しいが過大評価はまだ差し控えて欲しいのだが・・・・・ |