Column No.12 (2003/01/24デイリースポーツ掲載分)
◎オーストラリアのスポーツ中継
写真、左が私
右は丸山薫 氏
(まるやま かおる)

 南半球のオーストラリアは夏真っ盛り、所変わればというのが日本の真夏のテレビ放送と、かくも違うものなのか驚いている。まず、夏休みはレギュラー番組は2ヶ月間お休みしてしまう。スポーツ好きでバカンスを楽しむ季節なので、人気番組も「じゃあ、また2月に会いましょう」ってな具合である。プライバシーを尊重する国だから、日本のようにどこのチャンネルを回しても「ニュース・ショウ」と称するゴシップ満載の番組はまるでない。
 放送局は二つの国営、ABC,SBSと3つの民放=チャンネル7・9・11が競い合っている。国営の2つはNHKと違う税金で賄われている。SBSは経営が苦しくコマーシャルも流している。どの局もこの時期はスポーツ中継に力を入れている。それはレギュラー番組がおやすみのため、各局競ってスポーツのオンパレードになる。
 日曜日は終日、どの局もスポーツばかりだ。いま、WOWOWで中継している全豪オープンテニスはチャンネル7が独占しており、午前10時から始めてナイトセッションが長引けば午前午前1時でも2時まででも中継している。勿論観衆も午前様になっても席を立つ人は少ない。「クリケット並みの長い試合を全豪オープンの10日目、準々決勝で担当してしまった。
 アメリカのロディック対モロッコのエルアノーウィ戦はセットカウント2−2、第5セットのゲーム数が21−19、合計40ゲームという歴史的な試合で若い20歳のロディックが勝った。4時間59分は感動の連続だったが、実は私も長い放送が好きなアナウンサーなのだ。
 では、他の局はどんなスポーツをやっているかというと、日本とはまったく違う競技を放送しているのだ。クリケットという野球もどきだが全然違う。競技は一日中やっている。いくら見ても良く分からない。なんと、延々5日間もやり続けるものまである。オーストラリア人は体力に優れているから、アイロンマンレース、トライアスロン、ライフセーバー、カーレース、といつまで続くのかと思えるものが大好きなのだ。
 競馬だけは私も馴染めるが、カートを馬が引くレース、犬が疾走するドッグレースも頻繁に出てくる。ネットボールというバスケットに似た競技も初めてみた。バスケットの違いはボールを持った人に接触してはいけないルールになっていて非常に人気があると聞かされた。
 基本的にはイギリスが母国なだけにコモンウエルスに属する国々の対抗戦が盛んに行われている。アメリカ系の日本にいるとオリンピックだ、野球だ、サッカーだ、となるがここではオリンピックにない競技でも充分に市民権を得てテレビ中継の役割を果たしていることを知らされた。そして、スポーツを楽しむ心はどうやらオーストラリアの方が開放的でのんびりしているようだ。



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