このコラムのタイトルである「マイクからの風景」は、スポーツをフィールドにした放送席からの視点を書かせてもらってきた。ところで、オフシーズンになると、私のマイクは演壇からの講演や今年から始めた大学の講義が多くなる。このところ感じていることをご紹介しよう。
今月、鹿児島と仙台の企業からの講演では、「スポーツ界の指導者のあり方」をテーマにした話だったが、オリンピックやプロ野球で成功した指導者の話は、組織に生きるサラリーマンにとって興味があるらしく熱心に耳を傾けてくれた。盛岡と鳥取の高校の文化講演会では、高い目標を掲げ夢を追う選手の生き方を紹介した。
企業人は研修などで話を聞くことに慣れているし、役に立つことは聞き逃すまいと真剣だ。ただ、高校生に1時間半は辛い。どこまで聞いてもらえるのか、何度やっても不安がつきまとう。でも、今回も盛岡の高校生は退場の際、握手攻めで喜んでくれた。放送や新聞のマスコミと違い、ミニコミは反応がはっきりしているだけにごまかしは効かない。
大学では、「スポーツマスコミ論」と「スポーツ文化論」を講義しているが、これは金曜日が近づくと憂鬱になる。教科書を使わないし、新しいスポーツ界の動きを話したいと思うと、こちらが猛勉強する破目になる。
体育系の学生だから実技が多く、教室日入ると眠くなる。「居眠り」は仕方がないと思うのだが、最初から机を枕がわりにする「奴」もいる。授業態度は様々だから一概には言えないが,問題は新聞を読んでいる学生があまりにも少ないことだ。100人で2〜4人の割合しかいない。情報はTVなのだ。「TVはすぐに忘れる。新聞を読もう」が私の講義の口癖になってしまった。
それでも、「伝え方や、発音を教えて欲しい」という学生もいる。体育会系はマスコミに開かれた門戸が、意外に狭いということも知った。課外授業もボチボチ、これはマイクなしだ。 |