月刊バスケットボール・「2003年4月号」掲載記事
月刊BBチャンネル
NBAの興奮を日本のファンに!
コートサイドのプロフェッショナルに注目!
 
エキサイティングなNBAの試合を、バスケットボールが大好きなスタッフの手でお送りしている,JスカイHOOP!今回は、その実況を担当する島村俊治アナウンサーに突撃インタビューを敢行しました。
BB バスケットボールの実況は何年くらいですか?
島村 「初めてバスケットボールの実況をやったのは、もう30年以上も前、私が鹿児島支局にいたころのことです。あれは高校の九州大会で、中村和雄さんがご指導をされていたころの長崎鶴鳴対鹿児島女子の試合でラジオでした。ラジオとテレビでは、実況方法もまったく違うもので、ボールがどこにあって、コートで何か起こっているという基礎情報を流していくようなものでした。テレビでは選手の名前をきちっと言うとか、調べてきた選手たちの情報などが大事ですが、ラジオの場合には、それよりもコートでの出来事を逐一言葉にしていくことが欠かせません」
BB バスケットボールの実況は、どんなところが難しいですか?
島村 「バスケットボールでは、どういうのがよい実況なのか、なかなかつかめないんですよ。何度やっても会心の実況というのがないんです。私は、自分のスタイルとして、人間を語りたい方なんですが、展開が早く、激しいバスケットボールでは、試合が白熱すればするほど、せっかく面白い情報を持っていても、話す時間がないわけです。技術的な解説や戦術面の詳しい話も、話がとても難しい内容になると思うから私はしません。また、バスケットボールでは、専門的なヨコ文字用語が頻繁に使われますが、それも一つ一つ説明するわけではありません。ですから、バスケットボールの実況は、知らないうちに専門的にならざるを得ないところがあるんですよね」
BB 指特に印象深い場面や心に残る名プレイヤーを教えてください。
島村 「私がバスケットボールに引き込まれたきっかけには、モントリオール五輪があります。モントリオールでは、日本は男女とも出場を果たしたのですが、特に女子は、忍者ディフェンスという非常に激しいオールコートプレスディフェンスと性格で切れのいいオフェンスを武器に、上位進出が期待されていました。しかし世界最強を誇ったソビエトにはセメノワ選手という210p以上もあるビックセンターがいて、私たちも小さな日本の選手たちが、いかに世界一のソビエトに挑むかに大変注目していました。
 NBAという意味では、ロサンジェルス五輪が一つのきっかけでした。そのときのアメリカ代表は、マイケル・ジョーダンやパトリック・ユーイング、サム・パーキンスなどといった素晴らしいメンバー構成でまだ全員学生時代のことで、見所は、なんといっても米ソの宿命の対決。ファンの皆さんは良く知っていらっしゃると思いますが、ミュンヘン五輪で、アメリカはソビエト相手の決勝戦で、残り3秒から非常に後味の悪い逆転負けを喫し、五輪における世界一の座を初めて他国に譲るという屈辱を味わっていましたから、その汚名を晴らす最高の舞台だったんですよね。結局、直接対決は実現しなかったとはいえ、学生だけのメンバーで圧倒的な優勝を果たしたアメリカに、底力のようなものを実感しました」
BB ‘ご自身の実況スタイルはどのようなものですか?
島村 長「私にスタイルは、間とゆっくりした口調ですね。私は例えば‘シュ〜〜〜トッ、シュ〜〜〜トッ、シュ〜〜〜トッ!’と叫ぶようなスタイルで実況をしたいとは思いません。もっとプレーヤーの心に迫る話がしたい。そう思ってやっていますね。
 また、できるだけ平等に、どちらかのチームに肩入れしたコメントをしないように心がけています。私はもちろんバスケットボールが好きですし、好きな選手がいるにはいるのですが、格好をつけて言えば、‘ファン’ではなく、プロフェッショナルとしてその場にいるということを常に意識していようと思っています。
 昔、野球に実況について、鶴岡一人さんからこんな言葉をいただいたことがあるんです。「島村君、選手にも親や子、妻もあるんやで・・・」その人たちも、一般のファンと一緒に見ていることを意識しなければ、プロといえるだろうか?選手が失敗した時に、それをけなすことは簡単です。でも、プロならば、そのようなプレイにも、ある種の温かみを持って実況してほしい。鶴岡さんのあの言葉は、今でも忘れられない、私にとっては座右の銘になっているんです」
BB  最もすごかったのは選手、ゲームというと?
島村 「いやぁ、それはもうたくさんありすぎて・・・・。でも、ジョーダン全盛期のブルズの試合や、ドレクスラーがいた頃のブレイザースの試合は本当にすごかった。スーパースターの、輝きの絶頂の時期というのが、やはり最高ですよね」
BB 特にこの番組を意識して、されていることなどおありですか?
島村 「特に自分のスタイルを変えるということはありません。私の仕事は起きたことを正しく伝え、また感動を伝えることです。常にプロフェッショナルのジャーナリストとして批判的な目を持ち、同時に温かい目を持ちながら、選手の心の動きを語りたい。
 でも、生中継ですので、録画に声を加える時と違って実況もきれいにまとまってはいないと思います。そのワイドな面も楽しんでいただけるのでは・・・・この番組のスタッフは、みんなバスケットボールが大好きであるということが、番組を通じて感じてもらえるのではないかと思いますよ!」
 JスカイHOOP!のスタッフは、島村さんをはじめ、みんなバスケットボールが大好き。NBAのライブ中継も、緊張感のなかで全員が楽しんでいるという感じ。今月もさっそく、Jスカイスポーツのバスケットボール中継をCHECKしよう!


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